パンは使用している材料の配合によって、『リッチ』なパンと『リーン』なパンに分類することができます。
『リッチ』なパン、『リーン』なパンとはどんなパンか、その特徴、違いを紹介します。
リッチなパンとは?
卵や油脂、砂糖、乳製品などの副材料を豊富に使ったパンをリッチなパンと言います。『豊かな』『コクのある』『濃厚な』という意味があります。
甘みやふっくらとしたやわらかい焼き上がりでそれだけでおいしく食べられる全体的に甘めのパンが多く、おやつや週末の朝食に食べるパンがこれに当てはまります。
パンをリッチにするための多くの副材料は、パン生地を柔らかくする性質を持っています。逆に、これらの副材料を入れすぎると、パン生地をこねる時に、グルテンを作る邪魔をしてしまいます。
そのため、リッチなパンはリーンなパンよりも強くて長くこねる必要があり、イーストの量も多く必要とします。その結果、こね上がったリッチな生地は、弾性と伸展性があり、炭酸ガスも多く発生し、パン生地が膨らみやすくなります。
リッチなパンは甘くてやわらかでふっくらと仕上がるわけはこういうわけです。
リーンなパンは、入れる材料そのものの甘さや旨味があるので、イースト臭などを感じにくく、味のごまかしはききやすいため初心者におすすめ。
比較的多く油脂や卵が入ったリッチなパンはパンの老化を遅らせます。
それらが馴染んだ頃がおいしいため、焼き立てよりも1~2日経ってからのほうがおいしいパンもあります。リッチなパンの方が保存がききます。
リッチなパン例:クロワッサン、デニッシュ、ブリオッシュ、シナモンロールなどの菓子パンなど
リーンなパンとは?
粉、水、塩、イーストで作る脂肪分の少ないシンプルなパンをリーンなパンと言います。バターや砂糖など副材料を少しだけ入れたものも、リーン系に含みます。『簡素な』とか『シンプルな』とか『脂肪分のない』という意味があります。
バケットなどのヨーロッパの食事パンの多くがこれにあたります。
リーンだからこそ小麦粉のこんがり焼けた香りや発酵による風味を充分にひきだせます。
小麦粉の風味は微妙で、個性の強い、バターや砂糖、卵、乳製品などを入れるとそれらの味や風味が勝ってしまいます。
粉の風味やうまみが仕上がりにダイレクトに影響するので、材料にこだわり、天然酵母でじっくりゆっくり発酵させ、独特の風味や香りをだすように作られていることが多いです。
リーンなパンはタンパクな味ですが、クラムやクラストの食感にそれぞれ特徴があり、微妙な塩味があり、主食としてのパンになります。おかずの味を損なわず、逆にひきたててお腹もふくらませてくれるパンがリーンパンです。
また、リーンなパンは焼き立てほどおいしい!
一方、中に日持ちのする砂糖や油分が入っていないため、老化するのが早いです。焼きあがってすぐに食べないなら、すぐに冷凍保存しましょう。
リーンなパン例:バケット、パン・ド・カンパーニュ、カイザーゼンメル、ライ麦パン
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