パンがふっくらぷっくりふくらむのは酵母がしっかりと働くから。
そもそも酵母とは何か? パン作りに使われるイーストの種類、ドライイーストとインスタントドライイースト、インスタントドライイーストとセミドライイーストとの違い、保存方法、使用期限などを紹介します。
酵母とは?
酵母は、糖分をアルコールと炭酸ガスに分解(発酵)させる菌のことです。
パンの発酵に使われる酵母の種類は、イースト、野生酵母、天然酵母の3種類。
- イースト・・パン用の酵母を抽出し、イーストフードを与えて純粋培養したもの。安定した発酵力でパン作り初心者に最適
- 野生酵母・・自家製酵母ともいう。穀物や野菜、果物由来の菌を培養したもの。素材由来の風味が楽しめる(レーズンやりんごなどの野菜から自分でおこす)
- 天然酵母・・添加物を加えて培養する『イースト』と区別するための名称。発酵に時間がかかり、何に由来するかにより個性的な風味が楽しめる(白神こだま酵母・あこ有機培養酵母・ホシノ天然酵母パン種など)
パン作りに使われるイーストの種類
自宅で手軽にパン作りをする人のほとんどが『イースト』を使います。
市販で売っているもののほとんどが『インスタントドライイースト』です。他にも生イースト、ドライイースト、セミドライイーストがありますので、その違いについて紹介します。
生イースト
生イーストはイーストの原型。名前の通り、『生モノ』。冷蔵保存で2週間程度の保存期間が一般的。頻繁にパンを作ることのない家庭では不向き。生イーストは、菓子パンやブリオッシュのように、砂糖を多く使う生地に使うと発酵が早くなります。
インスタントドライ(セミドライ)イーストの代わりに生イーストを使う場合は、3倍の量で仕込みます。
ドライイーストとインスタントドライイーストの違い
ドライイーストは生イーストを乾燥させ、水分を抑え、長期保存を可能にしたもの。製菓料店では、『ドライイースト』と『インスタントドライイースト』という名前のものが並んでいます。
『ドライイースト』と『インスタントドライイースト』の違いは、『ドライイースト』は、予備発酵させて使わなければならないものに対して、『インスタントドライイースト』は、予備発酵をさせずに直接粉に混ぜて使うことができます。
メーカーによって、表記が異なり、『インスタントドライイースト』だったり『ドライイースト(予備発酵不要)』『ドライイースト(ホームベーカリー用)』だったりしますが、中身は同じで、ドライイーストとして売っているもののほとんどは、実は『インスタントドライイースト』です。
『ドライイースト』は『インスタントドライイースト』よりも粒が大きく、球体をしています。使う前に予備発酵する手間がありますが、『インスタントドライイースト』とは違う、小麦本来の香ばしい香りや味があります。
家でパンを作る場合には、初心者には、『インスタントドライイースト』が最も手に入りやすく、簡単でポピュラーです。
『インスタントドライイースト』には通常タイプと耐糖性タイプがあります。耐糖性のインスタントドライイーストは、糖分が5〜25%のパンに対応できるよう作られています。
通常タイプのインスタントドライイーストでも10%程度の糖分のパンには対応できますが、糖分の多い甘いパン(ブリオッシュ、パネトーネなど)を作る場合は、耐糖性のインスタントドライイーストを使います。
写真はいずれも『サフ』のもの。国内で販売されているイーストはどれも高品質ですが、プロも多く使用していて、扱いやすい『サフ』のインスタントドライイーストがおすすめ。
セミドライイースト
『インスタントドライイースト』と見た目がほとんど同じで、同じくサラサラとした顆粒で粉に直接混ぜて使えるのが『セミドライイースト』です。まだ新しい商品。
『セミドライイースト』は、『インスタントドライイースト』と『生イースト』のちょうど間のようなイーストで、入手も困難、保存期間も短い『生イースト』を使うのは大変だけど、風味にはこだわりたい、イースト臭の少ないパンをお手軽に作りたいというのであれば、『セミドライイースト』です。
特にフードプロセッサーでこねる人には、『セミドライイースト』がおすすめ。ホームベーカリーがこねる時間が約10分なのに対して、フードプロセッサーは約2分。
『セミドライイースト』の方が短時間での混ざりがいいです。そして、『インスタントドライイースト』を使った時よりもパンがソフトに仕上がります。
『セミドライイースト』にも、『通常タイプ』と『耐糖性タイプ』があり、『通常タイプ』はリーン系パン生地に、『耐糖性タイプ』は砂糖が5%以上入っている生地に使えます。
製菓材料店で購入することができますが、販売店では牛乳パックのような入れ物で冷凍庫の中に入っています。場所がわかりにくいので気をつけて。家に持ち帰ってもそのまま冷凍庫で保存します。
『インスタントドライイースト』のレシピを『セミドライイースト』に置き換えて使う場合は、同じ分量で使用します。
イーストの特徴まとめ
風味や香りにこだわり、イースト臭を抑えたいなら
生イースト > セミドライイースト > ドライイースト > インスタントドライイースト
パン作り初心者が手軽に使いたい
インスタントドライイースト > セミドライイースト > ドライイースト > 生イースト
ドライイーストの保存方法
『インスタントドライイースト』『ドライイースト』は、できるだけ空気に触れないようにしっかりと密封して、湿気の少ない低温の場所で保存します。冷蔵庫は湿気が多いため、こちらも冷凍庫で保存します。
ドライイーストの使用期限
『インスタントドライイースト』『ドライイースト』は湿気の少ないところでしっかり密封保存していれば、半年は問題なく使えます。ただし、湿気を吸ったりして、劣化すると発酵のはたらきが弱くなり、パンのふくらみが悪くなります。
パンがふくらまないなと感じたら、新しいもの購入して下さい。
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