パン作りに使う材料の中に『塩』があります。
『塩』を入れるとパンに塩味がつくだけではなく、色々な効果があります。パンに塩を入れる効果、役割、パンに使う塩の量と種類、保存方法を紹介します。
パンに塩を入れる効果
パン作りにおける塩の役割は
- 味の決め手になる
- 酵母の活動を助ける
- 発酵の速度を抑制し、発酵を持続させる
- 生地を引き締めて扱いやすくする
- 雑菌繁殖防止
- 焼き色をよくする
などといった働きがあります。
パンにとっての塩の役割は1つは、味。塩を入れてないパンは味のないぼそぼそとしたおいしくないパンになってしまいます。
生地に加える量はわずかですが、適量の塩は、生地のグルテンを引き締め、コシを強くするという役割があります。また、発酵の速度を抑制する働きもあります。塩があるとイーストの働きがセーブされ、発酵の速度が進みすぎず、緩やかになります。ゆるやかに発酵がすすむとパンの焼き上がりがしっかりします。
塩には雑菌の繁殖を防ぐ効果があるため、塩がないパンは日持ちも悪くなります。
逆に塩を入れ忘れてしまったら、生地をこねる段階でべたつく生地になり、膨らむものの、生地のつながりが弱いので、ガス保持力が少なく、すぐにしぼんでしまいます。
また最後の焼成の段階で、窯伸びが悪く、焼き色もつきません。塩を入れすぎてしまった場合には、生地に伸展性がなくなり、小さく縮まり、発酵にも時間がかかってしまいます。
ほんの少量であっても塩は大きな影響力を発揮し、パン作りには欠かせない原料です。
塩の種類
塩には色々種類があります。どの塩をつかっても問題はありませんが、種類によって味わい、働きが変わります。パン作りにこだわるなら、それぞれの特徴、クセを知り、パンによって使う塩をかえてみましょう。
それぞれの塩の特徴はこちら
精製塩
『食卓塩』『焼き塩』とよばれる塩。ミネラル分を取り除いてあるので、主成分の塩化ナトリウムが99%を占めています。少量でも強い塩味が感じられる。
岩塩
地殻変動のため、海底が隆起するなどで、陸上に閉じ込められた海水が蒸発し、長い時間かけて濃縮、結晶化したもの。海塩に比べるとミネラル分は少なくなっています。パン作りでは、表面にまぶすトッピングなどに使われます。
海塩
塩はどれも元は海水から作られるものですが、さらに原料や製法によって塩の種類が天日海塩(ゲランドの塩など)、窯焚き海塩(海の精など)、イオン膜濃縮塩(瀬戸のほんじおなど)、再生加工塩(赤穂の天塩、伯方の塩など)の4つに分類できます。海塩は、ミネラルが豊富でコクがあります。
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パン生地に塩を入れるタイミングと量
塩を入れるタイミングは、基本的には、パン生地にを作るときに中に練り込みます。水分がでる野菜をのせた惣菜パンを作る際には、生地の塩分はおさえて、最後に振り塩をして、あとから 塩気を足してあげるとパンがおいしくなります。
オーブンに入れている間に、水分が蒸発して、パンに塩と野菜の両方のうまみが染み込むのです。
パン生地に入れる塩の量の基本は、最低でも全体の1.5%。2%以上にあると塩気が強すぎる印象になります。
ハード系のパン→1.5~1.8%がおいしい ライ麦粉や全粒粉はグルテンを成形しないので、塩を入れないと生地がだらけてしまう。
ベーグル系のパン→1.5~2.0%がおいしい 食感をだすために後から岩塩をふりかける場合は、元々の生地の塩分は少なめに
食事パン→1.5%がおいしい 味付けのしてある惣菜や野菜、チーズなどを上にのせたりする食事パンは、塩分ひかえめに。フォカッチャは2.0%と多めに。イタリアのパンなのでイタリアの塩を使うとおいしい。
食パン→1.5%がおいしい 食パンはバターを塗ることが多いので、バターの塩分の分控えめに。バターの塩分の味わいを活かそう。
塩の保存方法
いずれの塩も吸気中の湿気をよく吸収する性質を持っています。湿気を含んだ塩は、重量が増加するので、同じ10gでも乾燥した状態と湿気を含んだ塩とでは、成分に違いが出てきます。
そのため、パン作りに使う塩は、湿気の入らないところに密封して保存しましょう。フライパンでさっと乾煎りしてから使うと、湿気による重量や塩分の差、味にムラがなくなり、さらさらで使いやすくなります。
パンに塩が少し入っているだけで、パンのおいしさを引き出し、味わいを調節し、決定付ける大切な役割を果たしています
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