パン作りにおける最後の工程、焼成。
パン作りの焼成とは?パンが焼けるしくみ、パンの焼成のコツ、自分の持ってるオーブンのクセをチェックする方法、パンが焼けたか見極める方法について紹介します。
焼成までの道のりは長いですが、最後の最後で失敗にならないためにコツをしっかりつかんでください。
焼成とは?
パン生地をオーブンに入れて焼き、生の生地に火を通して食べられる状態にする作業のことを『焼成』といいます。二次発酵の後行います。
パンの種類、大きさによっても違いますが
例えば粉の分量300gの生地なら、
1個 → 180~200度で20~30分前後
10分割 → 180~200度で10~12分前後
で焼くことが多いです。初心者は、まずレシピ本通りの温度で焼いてみましょう。それで、焼き色がつきすぎたとか、色が薄いなどで時間を短くしたり、長くしたり、また温度を10度あげたり、下げたりして調整していきましょう。
レシピから分量を変えた焼成時間についてはこちらを参考にして下さい。
パンが焼けるしくみ
パンは焼いている最中もイーストの発酵と気体の膨張によって膨らみます。生地の温度はオーブンに入れてから徐々に膨らみます。イーストが死滅するのは約60度。
それまで発酵をし続けて炭酸ガスを発生しています。60度を過ぎた後は、炭酸ガスが膨張して含まれていた水分が水蒸気になり、パンはさらに膨らみます。
焼成のコツ
オーブンの予熱完了時間を把握する
パンを焼くときは、あらかじめオーブンを温めておくこと(予熱)が必要です。予熱をせずに焼くと、膨らまなかったり、焼きムラになったりの原因になります。
パンの工程の流れからすると、2次発酵終了後 → 焼成に入ります。パン生地は、2次発酵を終えた後も、室温で発酵し続けています。
そのため、二次発酵後はすばやく焼き上げる必要があります。
ガスオーブンは、5分もかからず予熱温度まであげることができますが、電気オーブンだと機種によっては20分ほどかかるものもあります。しかも、二次発酵オーブンの発酵機能を使っていると、二次発酵20分+室温20分になり、発酵が進みすぎてしまいます。
二次発酵にオーブンの発酵機能を使っている場合は、予熱の時間も踏まえて、早めにオーブンから取り出します。
自分が持っているオーブンが予熱に何分かかるかを把握しておき、クープや卵をぬる、霧を吹くといった作業は、オーブンに入れる直前に行います。(早すぎると生地がだれてしまう)
焼いている途中もオーブンの中を確認する
焼き始めは、まだイーストが生きているため、オーブンは開けないほうがいいです。焼き始めてすぐにオーブンを開けてしまうと、パンがふくらまなくなってしまいます。
ただし、レシピの時間がくるまで一度も見ずに放置すると、焼きすぎているかもしれません。外から庫内をこまめにチェックし、温度を調節し、レシピの焼き時間の半分ぐらいの時間になれば、中を開けても構いません。
焼きムラがあるようなら位置を変えます。
焼きムラとは?
場所によって色が白かったり、パン表面の色にムラがあること。また、見た目ではわからないけれど、中が焼けているパンと焼けてないパンもあることがある。
庫内を確認して、調整してみましょう
→パンの位置を入れ替え、まんべんなく焼きムラのないようする ※
→焼き色がつきすぎている場合には温度を下げる、またはアルミホイルをかぶせる
→焼き色が薄い場合は温度を上げる
家庭用のオーブンは熱源が近いところに置くのと遠いところに置くのとで、パンの焼き目の色が変わってき、焼きムラができやすいです。均一にするためには、焼き時間の半分ぐらいのところで、上下、前後を入れ替えます。
時間ではなく温度を調整する
焼き始めてから色づきが悪いからと焼き時間を増やすと、必要な水分がなくなってしまい、中が乾燥したり、冷めた時に硬くなったりしてしまいます。
焼成時間はそのままに、途中で温度をあげたり、下げたりして調節しましょう。
ハードパンをパリっと仕上げるコツ
ハード系のパンをカリっと焼くには、焼成前に霧吹きで水をかける事。表面をぬらすと、表面に火が通って固まるのが遅くなり、生地の表面が伸びやすくなります。
焼く時に、生地がスムーズに膨らみ、ボリュームのあるクラストの薄いパンに焼きあがります。
ハード系のパンには高温が必須。ぬらしたパンの表面の水蒸気が結露して水の粒子がつくと、生地内の小麦粉と反応して糊状になります。高温で焼くと、表面が乾燥してパリっとした食感になります。
オーブン皿が2段の場合は下で焼く
パン作りでは、オーブン皿が2段に入る場合には、基本は下段で焼く。
特に庫内が小さい電気オーブンの場合は、上に熱源があるため、カンパーニュなど大きい1つのパンを焼くと、パンが焦げてしまう。
パンの数が多くて、2段に分かれてしまう場合は、上下2段使っても大丈夫ですが、1500w以下の電気オーブンでは、パワーが足りないので、2段で焼くことはできません。
一度に焼けない時には、2回に分けて焼く。2回目に焼く生地は、発酵が進まないようにラップをして、室内のなるべく涼しい場所においておく。1回目が焼きあがったら、2回目の生地を天板に移し、すぐに焼き始める。
自分の持っているオーブンのクセを知る
オーブンにはそれぞれクセがあります。
オーブンのクセ チェックリスト
- レシピ通りの温度で焼き色がつくか
- 予熱まで何分かかるか
- 熱源はどこか、焼きムラはできるか
180度と表示されていても、それはオーブンの中の機械が計っている180度。実際に庫内温度計で計ってみると、その温度に達していないこともあります。
どうしても生焼けになる。うまく焼けないという場合には、庫内温度計を購入して庫内温度を計ってみましょう。実際と異なる場合には、何度に設定すれば、実際の温度になるのかを把握しておくと失敗が少なくなります。
レシピ通りの温度ではいつも焼けないなと思ったら、実際に計ってみましょう。実際に10度足りないとわかれば、次回からレシピ+10度で設定すればいいわけです。
オーブンは、パンを入れる時に、扉を開けると温度が急激に下がります。ガスオーブンなら扉をしめた後、あっという間に設定温度に戻りますが、予熱に10分以上かかる電気オーブンは、火力が弱いので、予熱設定温度をレシピ10~20度あげて予熱をし、パンを入れてから、元々の設定温度に下げましょう。
焼き色は自分好みで
ハイジの白パンのように白く仕上げたい、ハード系のパンでこんがり美味しそうに焼きたい。パンの焼き色はパンの種類によって、また好みによって色々です。
自宅でパンを焼く分には自分の好みで仕上げるのが一番。焼き色をあまりつけたくないなと思ったら、レシピより温度を10度下げてみる、など、調整してみて下さい。
何度も焼いていると、このパンなら何度で何分がちょうどいいとわかってきます。
パンが焼けたかどうか見極める方法
お菓子作りで焼けたかどうかを知るには、竹串をさして、生地がつかないかどうか確かめる方法があります。
パンが焼けたかどうか見極める方法は、確かな方法はなく、焼き立てのパンに竹串をさすと、しぼんでしまいますので、注意。
レシピ通りの時間で焼き、パンの裏面に焦げ目がついていれば、たいてい焼けています。
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