パン作りにおいて、レシピに書いてあるパンの個数と自分が作りたい個数が違う時、レシピの分量を変える事ができます。
レシピにある分量から配合率(ベーカーズ・パーセント)を割り出して、作りたい個数に必要な材料の分量を計算する方法、また、レシピの材料の置き換えが可能かどうかについても紹介します。
ベーカーズ・パーセントとは?
材料の大半を占める粉(強力粉など)の分量を100%とすると、そのほかの材料の分量を配合率によって表示することができます。これをベーカーズ・パーセントと言います。
ベーカーズ・パーセントで分量を計算すると、少量の生地からたくさんの生地まで、簡単な掛け算をするだけですべての分量が出せます。
ベーカーズ・パーセントは、世界共通です。
ベーカーズ・パーセント計算例
例えば、元のレシピの分量が以下のようだったとします
- 強力粉・・250g
- 塩・・5g
- 砂糖・・8g
- バター・・15g
- 水・・160cc
- ドライイースト・・ 5g
小麦粉 | 250÷250×100 | 100% |
塩 | 5÷250×100 | 2% |
砂糖 | 8÷250×100 | 3.2% |
バター | 15÷250×100 | 6% |
水 | 160÷250×100 | 64% |
ドライイースト | 5÷250×100 | 2% |
実際に作りたいグラム数が300gだったとします。
300×ベーカーズ・パーセントで実際に必要な分量を計算できます。
小麦粉 | 300×100% | 300g |
塩 | 300×2% | 6g |
砂糖 | 300×3.2% | 9.6g |
バター | 300×6% | 18g |
水 | 300×64% | 192g |
ドライイースト | 300×2% | 6g |
家庭で作りやすい量は、250~300gほどの生地です。自分の持っている機械(ホームベーカリーやフードプロセッサー)がどのぐらいの生地をこねられるか、オーブンが一度にどのぐらい焼けるか、どのぐらいの量を食べられるかによって変わってきます。
レシピとサイズが違うパンの発酵時間や焼き時間は?
ベーカーズ・パーセントを使って、全体の分量を変えることができますが、発酵時間や焼き時間はどうなるのでしょうか?まず、発酵時間は、時間ではなく、『1.5~2倍の量になるまで』『フィンガーテスト』で判断します。レシピの分量が2倍になったからといって、発酵時間が2倍になることはありません。
焼き時間は、分割したサイズ、オーブンの特性、パンの種類(リッチかリーンか)によって変わってきます。パンには焼減率というものがあります。
焼減率=(生地重量-焼成後重量)÷生地重量
パンが火通り、固さ、口どけが良いのは、焼減率が25~30% ぐらいのパンです。
焼減率が大きくなればなるほど、水分がとんだ硬いカスカスのパンになります。パン生地をオーブンに入れた時点から生地の中の水分が減っていきます。
同じ生地量当たりの水分量はリーンな生地よりリッチな生地の方が多いです。
生地重量が50gの菓子パンであれば約5分ほどで、惣菜パンであれば約7分ほどで焼減率が25~30%に達します。その時間を目標にパンがきれいに焼けるようにオーブンの温度を決定します。
その際、気をつけたいのは、砂糖の量です。基本的には、
- 糖分の多いリッチな生地 → 焦げやすいので低め
- 糖分の少ないリーンな生地 →高めで
焼きます。砂糖以外にもパンの種類によって、どう仕上げたいかによっても変わってきます。
- 丸パンやロールパン → 高温で短く(220度で 11~15分ぐらい)焼く ふんわり柔らかいパンになる
- メロンパン → 低温で長く焼く メロンパンなど上に砂糖たっぷりの焦げやすい甘い生地がのり、内側の生地に火が通りにくいため
- ハイジの白パン → 低温で長く焼く 焦げ目を付けず白く焼きたいため
- バゲット → 高温で長く焼く パリっと堅く仕上げるため
高温でさっと焼いてしまったほうが、ふんわりと仕上がります。焦げないのであれば高温で短い時間で焼いた方が仕上がりはいいです。低温で長く焼くと硬いパンになります。220度で11分焼いたパンより、180度で15分焼いたパンの方が硬いパンになるということです。
水を牛乳に置き換えることはできる?
ベーカーズ・パーセントを使う以外に、材料の置き換えをしたい時があります。例えば、水分に水を使うのではなく、牛乳を使いたい場合。水に対して、牛乳は100~105%で置き換えるのが目安です。
牛乳のタンパク質の成分で生地が硬くなることがあるので、水の場合より増やします。
牛乳をスキムミルクに買える場合は、牛乳の10分の1の量で十分です。
バターをオリーブオイルに置き換えることはできる?
レシピの中のバターなどの固形油脂をそのままの分量でオリーブオイル、サラダオイルなどの液体油脂に置き換える事もできます。
固形→液体油脂に換えた場合、焼き色がつきにくくなります。逆に、液体油脂→固形に置き換えると、生地の伸びがよくなり、しっとりしたパンになり、焼き色もつきやすくなります。
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